1. トップ
  2. 明治時代編トップ
  3. 第1部 龍馬暗殺
  4. 明治名古屋商人 伊藤祐昌(いとう呉服店)

第1部 明治前期/1868(明治元年)

その時、名古屋商人は

明治名古屋を彩る どえりゃー商人 伊藤祐昌(いとう呉服店)

伊藤次郎左衛門祐昌
幕末から明治大正にかけて活躍した
伊藤次郎左衛門祐昌 
『名古屋商工会議所百年史』より

 伊藤次郎左衛門家は、松坂屋のルーツである「いとう呉服店」の宗家である。その14代として幕末から明治大正にかけて活躍したのが伊藤祐昌だ。

 伊藤次郎左衛門家は、慶長16年(1611)の清須越以来の商人で、茶屋町(名古屋市中区丸の内2‐5。現・アイリス愛知)の場所で、呉服太物商を営んでいた。

 祐昌は、慶応2年に19歳で家督を継いだ。堅実な手腕で明治期の伊藤家を発展させるとともに、名古屋博物館長などの公職につき地域に貢献した。

 祐昌の功績の中で特に大きかったのは、名古屋城の金鯱の復旧だったといわれる。金鯱は新政府になって以来見せ物として回された。明治7年(1874)に本願寺東別院で、名古屋博覧会が開催された際にも金鯱は展示物になった。そのような状況を哀しんだ祐昌は、財界人と話し合って天守閣に戻す運動を始め、復旧させた。

 祐昌は、名古屋商法会議所の初代会頭になり、明治14年3月から明治18年2月まで、その座にあった。また、大須に明治11年にできた名古屋博物館で館長を務めた。濃尾大地震の際にも多額の寄付を行っている。

 このような地域奉仕のかたわらで、堅実な経営を行った。明治10年に第十一国立銀行設立にかかわり、14年に伊藤銀行を設立。伊藤銀行は大正・昭和恐慌期にも取り付けを免れ得た数少ない銀行で、東海銀行の前身の一つになった。

 また、子の祐民は、周囲の懸念を払いのけて名古屋最初のデパート業への転換を推進した。明治43年に栄町角(現・スカイル)に店舗を建築し、さらに大正14年(1925)に商号を全店統一の「松坂屋」に改称するなどの積極経営を行った。

 この伊藤家は、岡谷鋼機の岡谷家と幾重にもまたがる縁戚関係にある。〔参考文献『名古屋の商人 伊藤次郎左衛門 呉服屋からデパートへ』(名古屋市博物館)〕

ページの先頭へ戻るページの先頭へ

序文

第1部 明治前期

明治元年 龍馬暗殺
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 伊藤祐昌(いとう呉服店)
この年に創業 峰澤鋼機
明治2年 版籍奉還
明治3年 四民平等
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 九代目岡谷惣助真倖(岡谷鋼機)
明治4年 通貨単位が両から円へ
その時、名古屋商人は・・・
岡谷鋼機が会社を作って七宝焼を世界に売り込む
明治5年 新橋―横浜間に鉄道開通
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 北川組
この年に創業 鯛めし楼
明治6年 地租改正
明治7年 秋山好古が風呂焚きに
明治8年 北海道に屯田兵を置く
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 四代目滝兵右衛門(タキヒヨー)
この年に創業 タナカふとんサービス
この年に創業 青雲クラウン
明治9年 武士が失業へ
明治10年 西南戦争起こる
その時、名古屋商人は・・・
本町のシンボル・長谷川時計を作る
この年に創業 一柳葬具總本店
明治11年 大久保利通暗殺
明治12年 コレラが大流行
明治13年 官営工場が民間へ払下げ
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 安藤七宝店
明治14年 緊縮財政始まる
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 岩間造園
この年に創業 松本義肢製作所
この年に創業 東郷製作所
明治15年 板垣退助暴漢に襲われる
明治16年 欧化を推進、鹿鳴館外交始まる
明治17年 自由民権活動が激化
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 村上化学
明治18年 伊藤博文、初代首相に
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 福谷
この年に創業 服部工業
明治19年 ノルマントン号事件起きる
明治20年 豊田佐吉、発明家として歩み出す
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 林市兵衛
この年に創業 折兼
この年に創業 鶴弥
この年に創業 柴山コンサルタント
明治21年 正岡子規、ベースボールに夢中
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 鈴木政吉
この年に創業 ニイミ産業
この年に創業 丸川製菓
明治22年 大日本帝国憲法発布
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 坂角総本舗
明治23年 教育勅語発布
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 ヒノキブン
この年に創業 笹徳印刷
この年に創業 ワシノ機械
明治24年 ロシア皇太子、斬られる
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 河田フェザー
明治25年 第二回総選挙で、政府が選挙妨害
明治26年 御木本幸吉、真珠養殖に成功
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 奥田正香
この年に創業 西脇蒲團店

第2部 日清・日露戦争時代

第3部 明治後期

第4部 「旧町名」を語りながら