名古屋市東区には市政資料館があるが、そのすぐ東側という場所にあるのが建設コンサルタント会社の柴山コンサルタントだ。
現住所は名古屋市東区白壁1丁目69だが、江戸時代は上級武士団の居住地だったところだ。明治3年(1870)の地図を見てみると、井田貝三郎という上級武士が住む家だったことがわかる。いかにも名門にふさわしい場所である。
柴山コンサルタントは、明治20年に武平町で創業したが、すぐに西魚町3丁目3(現・中区丸の内3丁目9および16近辺)に移転した。そこは通称「魚之棚」と呼ばれた小田原町筋にあり、「河文」などの料亭が並んでいた。近くには伊藤次郎左衛門などの富豪が多くいた。
昔の富豪は、借家などの不動産投資に励む傾向があったが、その借家の管理業・測量・土地鑑定などをするのが同社の業務だった。
創業者は、柴山壽太郎といった。名古屋財界の間では知名度が高く、多数の豪商を顧客にもっていた。また篤志家のような人格もあり、前途豊富な若者に対して学資を提供することまでしていた。
地主のニーズを汲み取った営業活動をしたので順調に発展した。大正10年(1921)頃には30人という職員を有するまでになった。
同社のサイトには「名古屋市内土地概價集鑑」という昭和9年(1934)の資料が載っている。これは地価を同社が独自に調べたもので、土地の売買の基準として使われていた。裁判所も、この資料を活用していたとか。
同社の最大の試練は戦争だった。空襲で社屋が焼失してしまい、戦後は名古屋駅前の旅館の一室を借りての出発だった。不幸にも創業者の壽太郎も病死してしまった。
同社は戦後、職員だった加藤芳樹が継ぐことになり、再建に取り組んだ。戦後は測量、建設コンサルタント(土木設計)業を行うようになっている。現在の社長は芳樹の長男の芳彦氏だ。「こつこつと身の丈に合った経営をしてきた」というが、約100人という規模は、名古屋の当業界ではトップクラスだ。
Copyright(c) 2013 (株)北見式賃金研究所/社会保険労務士法人北見事務所 All Rights Reserved
〒452-0805 愛知県名古屋市西区市場木町478番地
TEL 052-505-6237 FAX 052-505-6274