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  3. 第3部 アメリカで「T型フォード』が発売
  4. この年に創業 安井ミシン商会(現・ブラザー工業)

第3部 明治後期/1908(明治41年)

その時、名古屋商人は

この年に創業 ミシンの国産化を目指した 安井ミシン商会(現・ブラザー工業)

 この年は、安井ミシン商会(現・ブラザー工業)が創業した。創業者は安井兼吉という。兼吉は熱田の砲兵工廠(軍事工場)の技術者だったが、熱田区伝馬町で、ミシンの修理販売を始めた。

 兼吉は病弱であったため、長男の正義が父を補佐し、16歳の時にはミシンの修理工としての技術を身に付けていた。だが、正義は10代にして経済の荒波に直面することになった。第一次世界大戦後に、反動不況になり、新しい技術を身につけるため正義は就職活動を諦め、ミシンの事業化を目指すことにした。この時の体験が「働きたい人に仕事を作る」という創業の精神の一つになっていく。

 兼吉は、大正12年(1923)には隠居し、大正14年に亡くなってしまった。正義は、明治37年(1904)生まれだったので、大正14年に継いだ時は21歳だった。

 正義は、商号を「安井ミシン兄弟商会」に変更した。安井兄弟が目指したのは、ミシンの国産化だった。当時、日本国内で出回っていたミシンは、アメリカのシンガー製など舶来品が中心だった。安井兄弟は、製品開発や改良に励みながら、昭和3年(1928)に麦わら帽子を製造する環縫ミシンを発売した。この時に商標を「brother」にした。

 そして昭和7年に家庭用ミシンの国産化に成功した。正義28歳のことだった。それを本格的に事業化するために、昭和9年に株式会社に改組することとして「日本ミシン製造株式会社」を設立した。それが後のブラザー工業である。

 正義は平成2年(1990)に亡くなった。86歳だった。〔参考文献『ブラザーの「一世紀」ともに歩んだ100年の軌跡』〕

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序文

第1部 明治前期

第2部 日清・日露戦争時代

第3部 明治後期

明治39年 戦後の好景気、株式ブームへ
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 山田商会
明治40年 株価暴落
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 ノダキ
この年に創業 ハナノキ
この年に創業 渡邊工務店
この年に創業 江口巌商店
明治41年 アメリカで「T型フォード」が発売
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 安井ミシン商会(現・ブラザー工業)
この年に創業 ヨモギヤ楽器
この年に創業 星野楽器
この年に創業 丹羽幸
明治42年 アメリカで排日運動
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 福澤桃介
この年に創業 松屋コーヒー
この年に創業 タケヒロ
明治43年 石川啄木『一握の砂』刊行
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 キベ
この年に創業 井上
この年に創業 OMC
明治44年 関税自主権回復
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 大竹製作所
明治45年 明治天皇崩御

第4部 「旧町名」を語りながら