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  4. 明治名古屋商人 山田才吉

第2部 日清・日露戦争時代/1897(明治30年)

その時、名古屋商人は

明治名古屋を彩る どえりゃー商人 山田才吉

山田才吉
山田才吉

 山田才吉は、守口漬の考案者で、若宮神社西門のすぐ北隣で喜多福という店で売っていた。

 漬物の販売で巨利を得た彼は、その資金を元手に、明治17年(1884)に缶詰製造工場を作った。魚介類を中心とした缶詰は順調に売り上げを伸ばした。日清戦争が勃発すると、陸軍は外地での保存食として、缶詰を使用することを決め、才吉に発注した。

 缶詰製造で得た資金で、彼は途方もない建物や施設を造ることにそそぐようになった。

東陽館
東陽館(鶴舞中央図書館蔵)

 彼が最初に手がけた巨大建築は東陽館だ。明治29年、丸田町の交差点付近の広大な地に高壮な本館と、大きな庭園の中にいくつもの小亭を構えた娯楽施設の東陽館を竣工し、明治30年に開業した。だが、残念なことに、明治36年、出火によって東陽館は炎上した。

東陽館
現若宮大通の丸田町の交差点の北西には、東陽館という巨大な会館があった
(●は当時の場所)

 しかし、彼は莫大な資産を形成していたので、次の巨大建築物の南陽館建設にとりかかった。港区東築地五号地(現在の東築地小学校付近)で、明治43年に名古屋教育水族館を開館した。だが、そこも台風で倒壊してしまった。

 大きな建物を造りたいという才吉の執念は、異様なものだった。才吉は、今度は火事にも、台風にも倒れない日本一の高さの大仏を造ろうと計画し、大正4年(1915)に東海市で聚楽園に鉄筋コンクリートの大仏を造った。それが今日でも残っている、あのコンクリートの大仏である。

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序文

第1部 明治前期

第2部 日清・日露戦争時代

明治27年 日清戦争勃発
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 服部兼三郎
明治28年 日清戦争勝利
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 中日本氷糖
明治29年 ロシアに対して軍備拡張
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 サカツコーポレーション
この年に創業 馬印
明治30年 金本位制確立
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 山田才吉
明治31年 欧米列強が中国侵略
その時、名古屋商人は・・・
明治名古屋を彩る どえりゃー商人 大隈栄一
明治32年 義和団が台頭
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 カゴメ
この年に創業 天野エンザイム
明治33年 清が、欧米列強に敗北
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 松風屋
この年に創業 オチアイネクサス
明治34年 ロシアが満州を占領
明治35年 日英同盟成立
その時、名古屋商人は・・・
この年に創業 岩田商会
この年に創業 チタカ・インターナショナル・フーズ
この年に創業 東海廣告
明治36年 日露開戦前夜。大須の遊郭で大火
明治37年 日露戦争始まる
明治38年 日本海海戦で勝利

第3部 明治後期

第4部 「旧町名」を語りながら