この年は、チャールズ・チャップリンの映画『キッド』が、ニューヨークのカーネギーホールで公開され、大当たりした。
あらすじはこんな内容だ。「ロンドンの下町、男に捨てられた若い娘が、赤ん坊の処理に困ったあげく金持ちの車の中に置き去りにする。街の浮浪者チャップリンがその子を拾い育てることになる。5年後、成長した子供はキッドと呼ばれ、ハンチングに破れたセーター姿で登場。チャップリンを助け、インチキ商売に精を出す。そこへ今や人気オペラ歌手の生母が現れて、母子はめでたく再会、チャップリンと共に3人で暮らすことになる」
いかにもチャップリンらしい純粋さで、ユーモアと愛の溢れる作品だ。暗い時代だったからこそ、世界中の人々は、チャップリンの優しさに感銘を受けた。
ドイツは、ロンドンで開かれた連合国最高会議で決定された賠償金の支払いに同意した。その額はなんと、1千320億マルクという天文学的な数字だった。この結果、ドイツは毎年20億マルクと輸出額の26%に相当する金額を支払わねばならず、しかも第1回目は25日以内に10億マルクを支払えという過酷な条件が付された。これを拒否すればルール工業地帯を占領するという連合国の恫喝に、ドイツはやむなく同意した。
ドイツ国内では、ベルサイユ体制打倒を叫ぶ声や、敗戦の原因をドイツ革命を起こした社会主義者たちに求める主張が勢いづく。こうした気運は、帝政の復活を夢見る右翼や保守派に共和政攻撃の格好の材料を与えることになり、2年後の11月には、アドルフ・ヒトラーによるミュンヘン一揆を誘発する。
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