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  3. 大正5年 自己変革に挑む地場の繊維産業 茶久染色

この年に誕生した会社

自己変革に挑む地場の繊維産業 
茶久染色

 「天皇陛下が乗っておられる御料車のシートには、実は弊社が染色した糸が使われているのです」と誇らしげに語ってくれたのは、茶久染色株式会社の社長の今枝憲彦氏だ。

 茶久染色という社名は「ちゃきゅうせんしょく」と読む。茶久染色は大正5年(1916)、今枝久吉が一宮市音羽通りで染色業を始めたのが創業だ。社名の「久」は久吉という名前から一字を取っている。「茶」は、糸を茶に染めるのが難しかったため、染屋のステータスとして商号に茶の字が使われることが多かったのがゆえんだとか。

 同社は、創業時から一貫して毛合繊糸染色加工業を営み、その後の社業の繁栄に伴い、昭和31年(1956)に株式会社に組織を変え、現在に至っている。

 その技術を生かして、用途の開発に取り組んできたおかげで、今日の姿がある。仕事量の約半分は、産業用資材、つまり車のシート関係で占められている。高級車や新幹線などのシートには布が張ってあるが、そのカーシートの生地になる糸を染色している。最近では、東北新幹線「はやぶさ」車両にも採用されている。

 憲彦社長が、最近取り組んでいるのが、カーボンナノチューブ(筒状炭素分子)という新技術だ。カーボンナノチューブとは、炭素原子が髪の毛の1万分の1レベルの細さで筒状につながった物質のこと。軽くて強いうえに、電気を通し、熱を伝えやすいなど優れた特性を備えている。

 憲彦社長は、カーボンナノチューブを糸の表面に塗った「導電繊維」の布地を見せてくれた。電気を通して発熱する特徴をもつので、しばらく電気を通しておくと温かな布になる。布地の表面は170度を超え、湯を沸かすこともできるという。用途はいろいろ考えられるという。

 伝統の固有技術を生かして、新技術に挑戦する地場産業の見本ともいえるようなビジネスだ。

 本社所在地は、愛知県一宮市開明字苅安賀道31である。

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発刊に寄せて

序文

大正元年(1912)

大正2年(1913)

大正3年(1914)

大正4年(1915)

大正5年(1916)

吉野作造が名古屋で民本主義を説く
その頃、日本は 好景気で狂乱物価
その頃、名古屋は 大戦のおかげで重工業が勃興
その頃、日本は 工場法が施行され不十分ながら労働者保護へ
<この年に誕生した会社>
ピンチを一致団結して乗り切る
クサカ
<この年に誕生した会社>
「もったない」精神をビジネスに エス・エヌ・テー
<この年に誕生した会社>
ロングセラーの「あべっ子ラムネ」 安部製菓
<この年に誕生した会社>
「土木は世の中を良くする仕事」の信念を貫く 朝日工業
<この年に誕生した会社>
自己変革に挑む地場の繊維産業
茶久染色
<この年に誕生した会社>
「長生き健康法」で企業を永続
妙香園

大正6年(1917)

大正7年(1918)

大正8年(1919)

大正9年(1920)

大正10年(1921)

大正11年(1922)

大正12年(1923)

大正13年(1924)

大正14年(1925)

大正15年(1926)

昭和2年(1927)