名古屋市長 河村 たかし
懇意にさせて頂いている北見昌朗さんが、『愛知千年企業 大正時代編』という本を出版された。北見さんの本は、『同 江戸時代編』『同 明治時代編』という本も読ませて頂いているが、それに続くシリーズだという。
私は、昔の古いことが好きで、自分自身も興味を持って調べてきた。名古屋という街は、江戸時代は御三家筆頭の尾張藩の藩都として栄えた。明治時代になると、薩長に押され気味だったが、それでも独自の文化を維持してきた。
この『愛知千年企業』という本は、名古屋を中心とする愛知県の企業のルーツが書かれている。豊田さんとか、松坂屋さんとか大手の話だけでなく、中小企業でこつこつと続いてきた老舗のことまで書いてあるので、興味深い。
北見さんは、古地図にも凝っておられて、かつて江戸時代とか、明治時代とか、大正時代とか、昭和時代の名古屋の古地図を制作して、人にプレゼントされてこられた。私も、その地図を見るのが好きで、市長室にも飾り、来庁者に見せてきた。
その北見さんは、名古屋の旧町名の復活を掲げ、活動をされておられる。私も、この旧町名の復活には大賛成だ。名古屋の旧町名は、「清須越し」で、清須から移転してきた由緒あるものだ。例えば、長者町とか、本町とか、情緒溢れるものだ。だから、北見さんが主宰する「名古屋の旧町名を復活する有志の会」にも、よく参加させて頂いている。
この『愛知千年企業』という本を読んでいると、その旧町名が頻繁に出てくる。例えば、「豊田佐吉翁が明治27年に名古屋の朝日町で個人創業した」などと書かれている。「朝日町」なんて現代では存在しない町名だが、何のことはない。錦3丁目のことだ。コルゲンコーワの興和さんの本社は、現在中区錦3丁目6番地にあるが、そこが元・朝日町だ。そう聴かされれば、佐吉さんのことを、名古屋人がもっと身近に感じるようになるだろう。
今は、産業遺産ということがクローズアップされている。名古屋には、その産業遺産がいっぱいあるので、それらの記念碑を市内に造りたいものだ。この『愛知千年企業』を読んでいると、そういう気持ちがますます強まる。
名古屋人は、地元の歴史について、もっと勉強しよう。学べば学ぶほど楽しくなるはずだ。本書がそのきっかけになれば幸いだ。
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